(続き)
暗い部屋の中で
人形にカメラを向けていて気付く夕暮れの青い色。
多分、使用しているレンズの癖なのだろう、
ホワイトバランスを調整すれば済むことなのだろうけれど、
新たな目線を得た気分になれる。
私は今こんな青い光の世界にいるのだ。
カメラを携えて外へ出れば
あの見慣れた街が
青い光に染まっているに違いない。
しかし、実際に出かけることはなく
家を出たとしても、それから1時間ばかりは後になる。
今の季節なら 歩いている人と擦れ違っても
もう誰だか判らない。
そして誰にも出逢わない街路ばかりを選んで行く。
ただ、それでも
歩きながら
西の空の消えていく光を見詰めては
古いキャンプソングを呟いている。
今日の業を なし終えて
心軽く 安らえば
風は涼し この夕べ
昔々の六甲自然の家の
キャンプファイヤーの炎や
木製二段ベッドのことを思い出しながら。