夕暮れ、30分ばかり近所を歩いた。
(続き)
昼過ぎからの雨が止んで、窓が明るくなったから、出かけてみる気になった。
しかし、夕暮れの風は冷たい。3月の下旬、マフラーは必要ないかと思ったのだが、手袋同様、着用して出るべきだった。
それでも南向きの日当たりの良い場所では桜が咲きかけていた。
駅ビルの書店がなくなってからは立ち寄る場所がなく、人通りのない街路をただ歩き回る。記憶の中の、遠い声を聞きながら。楽しいものもあれば、そうではないものも。
北向きの小さな公園が改修工事のため立ち入り禁止になっていた。
そこの桜の木がどうなっているのか_ふと気になったのだが、古い市営住宅を撤去した跡地に出来る一戸建て住宅群の公園として生まれ変わる。桜の木がそのまま残っていたとしても、もう私のような人間が一人ベンチに座って水割りウィスキーを飲むような場所ではなくなった。
夕暮れの青い光を見詰めながら行くところがない。ただ歩き回るだけ。それなら、未明のジョギングと変わらない。夕暮れの遠い声を聞かなくて済むのなら、朝の方が何も思わず青い光を見詰めることができる。
それがいいのか悪いのか。その判断もつきかねている。
Lachrymose VI (Erstwhile) feat. Jens Felger, Oddrun Eikli
In album: Lachrymose