美しい人の動きをただ追いかけていた。
しかし、撮影し終わったものを眺めると、これは、かくれんぼ だと気付いた。
(続き)
かくれんぼが、どんな遊びだったか_改めて考えると、確かな場面が思い出せない。余りにも遠い昔の記憶を辿るからなのか。缶蹴りやドロケイ等、みんな混ぜこぜになっていて、遊びの終わり方が何とも曖昧だ。一緒に遊んだのが誰だったか考えると、本当に遊んだことがあるのか_そこから疑い始めることになる。
遊んだ記憶は不確かなのに、"ゆでめん"2曲目の かくれんぼ や江戸川乱歩のお勢登場の記憶は、さすがに鮮明だ。どちらも、広い場所を駆け回るのではなく、家の中でのかくれんぼ。撮影したこのシリーズも、閉じられた世界のものだから、かくれんぼだと感じたのか。
明るい窓際で膝を抱えて蹲るシルエット。カーテンの内側から、こちらを覗き見ている様子。白くて丸いライトを抱えて座り込んでいる辺りも、捕まえられた者たちが救出者の方をコッソリ窺う際の悪戯っぽさが漂っている。
ゲストハウスのあちらこちらで撮影していた時間そのものが、謂わば「かくれんぼ」だった。誰の目にも触れずに、声を潜めて、カメラモニターを覗き込んでいた。
家の中で行うかくれんぼは、美しい女の子が参加してくれてこそ成立する遊戯だった。
Marco Lucchi
piano patterns n°9
https://soundcloud.com/marcolucchi/piano-patterns-n9?in=marcolucchi/sets/piano-patterns-vol-2