Blue dolphins
シリーズ Summer Cabin の2回目。
副題の Blue dolphins には然したる意味はない。イルカの跳ねる青いセーラーカラーのブラウスが、この後のシリーズと緩やかに繋がっている_と言える程度だ。
(続き)
Ashot Danielyan - Sorrow (Pianobook - Isolation Piano)
https://soundcloud.com/ashot-danielyan/ashot-danielyan-sorrow-pianobook-isolation-piano?in=newpianomusic/sets/january-2021-playlist
それよりも今回は Summer Cabin のことを。
頭の中にあるのは、高原の避暑地にある小さな山荘、高校一年生の時に好きだった堀辰雄の世界。
既に前期高齢者の私には全く無縁、十代の夢として終わった世界だ。仮令、別荘を持てるだけの地位や財力を得たとしても、私には馴染めない世界だったに違いない。なにせキャンプファイアーが苦手だった。火を燃やして、それを静かに眺めるだけなら問題はない。火の周りでの馬鹿騒ぎを親睦と称して強要されるのが嫌だった。少なくとも私の参加した学校行事での野外活動は全てそうだったし、コミュニティには大なり小なり似たようなルールが存在する。
堀辰雄の軽井沢から心が離れていくのと同時に、文章中で使用される二人称「お前」に対して、少しばかり嫌なものを感じだしたのを思い出す。親しみを込めて相手をそう呼んでいるのは分かるのだが……それ以降、どんなに親しくなっても「お前」が使えなくなった。vous の距離感を守る方が、私には心地良かった。それは世間一般では他人行儀と呼ぶのだろうけれど。
おれたちゃ まちには すめないからに
肩を組んで歌いながら、夜空を見上げる人間ではなかった。
セーラカラーのブラウスの首筋が美しい。和服の抜き襟のような働きをするらしい。カメラモニターで何度も確認してもらった。