花びらの下に棲む小さな虫でありたい。
撮影終わり頃になって、そんな考えに憑りつかれていた。
(続き)
Science Teheran
When the stars started to spell your name
https://soundcloud.com/scienceteheran/when-the-stars-started-to
花の下なら普通はアリマキかテントウ虫。しかし、私が思い浮かべたのは、小さな甲虫。形も色も大きさも、電気ゴテの先から零れ落ちたハンダの一滴。勿論そんな甲虫は実在しない。しかし、群れて一塊になることや赤や黄色の派手な警戒色が私に似合うとも思えない。ひっそりと隠れて、花弁越しの光を浴びて生きる。その期間は、どれくらいなのだろうか。仮令、たった一日の寿命であったとしても、虫にとっては一生。短いとは感じないはずだ。
猫を飼っていると、人語を解するのではないかと思うときがある。
明け方近くに私の腕を舐めていた。そのまま放っておくと噛まれることもあるので、まだ早いから、もう一時間寝かせてちょうだい_とお願いする。猫は暫く私を見つめていて、どこかへ行ってしまうのだが、きっちり一時間後に起こしにやって来る。今度は、布団の上へダイブして。
人間の周りにいる生き物は、皆、人の言葉が分かるのではないか。理解はしているが、それぞれに備わった器官で言葉を発するため、人間には分からない。
何も分かっていないものが、どうも一番偉そうにしているようだ。
私は花弁の下の小さな虫でありたいと願う。