"On the deck of a phantom cargo ship" のカメラテストのようなつもりだった。
途中からシリコンドールの瑞々しさに目を瞠った。
今更なのだけれども。
(続き)
Moisés Daniel
Tenuous Light: Tarde de Domingo
https://soundcloud.com/moisesdaniel/tarde-de-domingo?in=moisesdaniel/sets/tenuous-light
窓際に脚立を持ってきて、その上に敷布団を載せている。
別室から arte145 を運び、服を着せ、ヘッドを装着。カメラテストを始める。
光の当り具合を確かめながら撮影しているため、連続撮影が目的だったかのように、同じような画像が続く。これは vimeo のスライドが主目的になってからの傾向と言えるかもしれないが、それよりも前から、心惹かれたものは何枚も撮っていた。
単調な繰り返しにしか見えないだろう。
美しい被写体の女性から、「いいね!」を貰うつもりがない_と云われたのを思い出す。人の目を惹こうとして撮っているのではないから、褒め言葉として受け取ったのだが、本心は果たしてどうだったのだろうか。自分自身が見たいものを撮っている_と言い訳じみたことを口にしたのだが。
これが若い頃なら、かなり悩んでいたはずだ。
美しいものを追い求めるのは難しい。
何を美しいと感じるかは人それぞれだし、多くの人へアピールするにはどうすればいいのか考え始めると、すぐに行き詰る。生業とする難しさは Lucian Taylor のことを思い返すだけで十分だ。
まして今日私が見惚れていたシリコンドールは……。
赤い薄葉紙に添わせるように寝かせていたシリコンドールの肌の瑞々しさ。
滲み出ているのは油分に過ぎないことは承知していても、こんなに美しいものはないと改めて思うばかりだった。