相楽園（２）池泉回遊式庭園
休憩場所を求めて、園の南西隅、
（続き）
[Creative Commons Music] AMBIENT SAD MELANCHOLIC EMOTIONAL SOUL TEARS BACKGROUND MUSIC 004
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そこまで行かなくてもベンチはあるのだが、日陰がない、人が多いなどの理由から全てパス。少しでも早く腰を下ろしたい筈の人を、結局、園の端から端まで歩かせてしまった。
教会礼拝堂のときのように蹲ることはなかったが、靴を脱いで、長椅子の上で膝を抱えるような姿勢になった。もし良ければということで、開封済のチョコレートを差し上げた。ヘーゼルナッツ入の一粒を口にしたのを見届け、草や木の影、つくばい等にカメラを向けて歩いた。
程なくして、元気になりましたとのこと。
西の端、長い白塀を背景にして撮影を再開した。
園外では白い壁なのだが、内側は日当たりの関係によるのか、薄っすらと緑に染まっている。レンズ越しに眺めていると、疏水の近くや輪中の集落が頭に浮かんでくる。いずれも実際に見た風景ではない。大垣の輪中のことなど小学校の時に勝手に掲示物を作って以来、思い出したこともなかった。
増水した川を行き交う船は集落よりも高いところにあり、まるで空を飛んでいるように見えた。そんな記述から思い描いた有様は、暫く頭から消えなかった。
この美しい人は輪中内旧家のお嬢様、姫様と呼んでも可怪しくはないな＿そんな妄想を辿りながら撮影を続けた。
姫様に対して、私は一体何者だろうか。
＿悪水に苦しめられる下流域の小倅、姫様に口をきくことなど有り得ない……
先々の妄想が簡単に膨らんでいくのが悲しい限りだ。
