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Small flowers by the roadside (_itokanasikimonotachi_)

Thinking in the wind -Ⅲ-

File002:文学部追憶

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(続き)

Wataru Kamei
Blow Through - Piano Solo
https://soundcloud.com/wataru-kamei/blow-through-2

追憶の中に生きているのは見苦しい。
reform、renovation、reproduction、retrospective……世の中はRe ばかり。新しい創造は、どこへいったのか。 新しいものが生まれなければ、古い大切なものも残せない。
直に聞いた或る建築士の言葉。返す言葉がないが、もとより私に向けられたものではない。苦言は、聞くべき人には届かず、届いたとしても言い負かしが横行して、何一つ変わらない。行き場を失くした正論は、関係ないはずの私の心にだけ響いて、疼痛を残す。

 

卒業後、二度ばかり、文学部事務室に出向いたことがある。
保管していた学士論文を返却するので期日までに取りに来ること。それを過ぎても受け取りのないものは研究室整理の為、処分する_という通知に驚いて。卒業後、5年が過ぎていたか、10年だったか……。誰も読まないものは資料価値がない_そう言われた気がした。二度目は、当時行方不明だった一人娘のことについて。出席や取得単位の確認をした後、休学もしくは退学手続きの説明を受けた。
どちらも愉快な思い出ではない。

 

スライドの終わり近く、文学部棟の入口に立ってもらった画像が続く。明るい中央芝生を眺めている姿に様々な思いが重なるのは仕方ないだろう。
卒業論文を提出した日、私は入口の所に寄りかかって外を眺めていた。一体どんなことを考えていたのか。多分、私の前にも同じように外を眺めていた者がいるだろうし、私が卒業してからでも、同じような者は何人もいただろう。ひょっとしたら娘も、こんな感じだったのかもしれないと考える。40年以上も過ぎているから、いろんな所は違っているのだが、あちらこちら昔と同じような光が当たっている。

 

しかし、蟠っていたものが漸く吹っ切れた気がする。
来た甲斐があったというものだ。
美しい人に感謝するしかない。

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