Light grey knitwear
(続き)
Ashot Danielyan
Pure
https://soundcloud.com/ashot-danielyan/ashot-danielyan-pure
漢字表記の○○倶楽部が似合いそうなシリーズ_と連絡しておきながら、表題にも小見出しにも倶楽部の文字はない。
幾つか候補となる語句を考えてはみた。しかしどれも安っぽい。倶楽部を會や組に変えてみても同じ。下品な響きさえ感じてしまう。
他愛ないのに心惹かれる集まりとして、良い名前が浮かばなかった。
それは多分、集団に対する苦手意識が働くから。SOS団やペンギン・ハイウエイの研究仲間たちに憧れはしても、美しい人の周りへ集まる人の輪には入れないのだ。
撮りながら思っていたのは倶楽部名よりも、桂枝雀が力説していた「緊張の緩和」理論。緊張が緩和するときに笑いが生まれると勝手に理解したのだが、私の惹かれる美しさは、ふっと息を吐いたような力の抜けた瞬間に在るように思った。
この人の眼差しの力には誰もが魅せられる。私もそんな画像ばかり選んできた。しかし撮影中は、いろんな表情に惹かれてシャッターを押している。スライド作りが主となってからは、その傾向がより強くなった。いつでも同じ表情を求め、褒めそやすなら、いずれ息苦しく感じるときがくるのではないか。
アイドルの若い女の子たちに群がっている大人の男たちは贔屓の引き倒しに気付いていない。
猫の可愛さは、そう生まれただけのことであって、ぐっすり眠っているときでも撫でられたり、抱かれたりしたいがためのものではない。
人も猫も、何かの目的があって生まれてきたのではなく、意味も無く生まれてきて、ただ毎日を生きているだけだ。
私の思いは「緊張の緩和」から、そんなところへ飛んでいた。