Scene 001 : In a black suit (Action 002 : Macarons and the lady in the light)
(続き)
Sten Erland Hermundstad
Spor
https://soundcloud.com/sten-erland-hermundstad/spor
ダークスーツをリクエストした為、どうしても色寂しい画面になる。何を差し色にするか。持って行くものを幾つか考えた。その一つがマカロン。
実は、この正月まで、食べたことが無かった。豊田泰弘氏の油彩画『マカロン』の記憶は鮮やかなのに。
注文したオードブルの詰め合わせの中に小さなものが三つばかり入っていた。
メレンゲの食べ物が好きだね。_と妻に言われて頷いたのだが、他にどんなものがあるのか思い浮かばない。確かに、口の中で崩れてなくなるような軽さは、好ましかった。好きだと思ったらコンビニではなく、ちゃんとした店のものを買って食べてみたら_と言われたのを思い出して、撮影場所へ向かう道すがら購入した。
店は検索して探したパティスリー。テイクアウトの美しい箱の中には個包装されたものが5つ入っていた。
撮影の為、スモーキーピンクのものを食べてもらった。イチゴ風味のものであったらしい。
私も暗褐色のものを食べてみた。チョコレート味なのだろうか。しかし甘い。酸味の強い苦いコーヒーかウィスキー、そんな飲み物が欲しくなった。
「ちゃんとした店」のものは、半ば予想どおり、私には向いていなかった。