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Small flowers by the roadside (_itokanasikimonotachi_)

ミナミの青

Lost in the blue 003

(続き)

MaxKoMusic
Peaceful Nature | Instrumental Chill Music (FREE DOWNLOAD)
https://soundcloud.com/maxkomusic/peaceful-nature-instrumental-chill-music-free-download

「青の少女」の撮影に用いた青い水着。
このボディには少しばかりオーバーサイズ。しかし、胸周りに関しては違和感はない。
ヘッドを澪に換えたのは何となく。
"Wearing a silver short wig." のイメージで決まりの筈だったのに、今日は収まりが悪い。さっきまで紗里に載せていたインナーカラー・ブルーを再び使用した。
カメラモニターには、モデル出身の或る女優の面影が現れた。
誰それに似ている_と思うのは、いつものパターン。多分、意識していない顔貌への拘りがあるのだろう。最初気づいていなくても、ウィッグを変えたり着せ替えをする内に、好きな誰かのことを思い出す。或いは、誰それに似ている_と思えないような人形には、端から興味を覚えないのかもしれないが。
思い出したのは、2016年夏の文庫本CM。
そのショートムービーで初めて見た美しい人。覚えた日本語の名前は本名のミドルネーム。父親がイギリス人で母親が日本人。大阪の公立高校生というのが驚きだった。こんな子が大阪弁を話し、タコ焼きや551を食べていたのか_勝手なことを考えて、笑った。
或る人形展を覗いた帰り、心斎橋を歩いていた人のことも思い出した。私の前を行くその人は、そんなには大きくはないのだが、身体の比率、腰の位置、骨格が周りを行く人たちとは明らかに違う。黒のスキニーデニムと黒のTシャツ。何の飾り気も無いシンプルな装いだったが、擦れ違う人が皆、振り返って見ていた。大きなワンボックスカーに乗り込む一瞬、私も漸く横顔を拝むことができた。意外にも、日本人のようにも見える白くて小さな顔だった。
もう二度と目にすることはない美しい人の記憶。それを確かなものにしたくて、真夏の青い空を見上げた。