Photo3_dArKred

Small flowers by the roadside (_itokanasikimonotachi_)

Green in the rainy season FOUR

(続き)

SeafoamSweaterGirl
Hang tight
https://soundcloud.com/seafoamsweatergirl/hang-tight

梶井基次郎檸檬
高校の教科書に出てきたとのこと。
私も、教科書ではないが、読んだのは高校生。感想は敢えて聞かなかった。私はふぅ~んと思った程度だったし、万城目学の連作短編集に出合うまで、然して思い出すことも無かった。
ただ、今回撮影したものを眺めている内に、高校生の時に交わした父との会話を思い出した。
檸檬の話からそうなったのか覚えていないのだが、島木健作の赤蛙を読んだかと訊かれた。流れを泳ぎ切れない蛙の話だと知っていたから読んでいたのだろう。しかし、そんな小説のどこに、この人は惹かれたのか不思議な気持ちは残った。
今回改めて読み直すと、赤蛙の黄色い腹がまざまざと見えた気がした。生きている間、お互いを苦手に思っていたのは、似たような性格がイヤだったのだろうと判る。中学・高校生でも薄々気付いていたのだから、ちょうど30歳違う父の方は、もっとイヤだったのだろう。
丸善の洋書売り場、美術書の棚に置かれた檸檬と波間に没する赤蛙の腹。
幻の暗闇に浮かぶ黄色から、父のことを身近に思い直した。
亡くなって20年。あと10年で父の年齢に追いつく今になって。