撮影していて、夜の第二神明道路が浮かんだ。
(続き)
山陽電車の曽根駅か的形駅辺りの現場からの帰り。
職人さんの運転する車には学生アルバイトが3人。くたくたに疲れ果てて、シートからずり落ちそうになっていた。会話が途切れた車内に、聞いたこともない歌が流れていた。くどいほどのリフレイン。しかし、サックスの伴奏が心地良かった。この声は、ひょっとして、Y・Mなのか?そう思いながら、長い下り坂の向こうに、神戸の夜景が広がるのを見ていた。
自分より年下の女性の声に惹かれたのは、それが初めてだった。その曲が出るまでは、何となく薄汚い感じのする歌ばかり歌っていた。周りにいる大人たちが意図しているモノ。それを歌わされている17歳の少女。その雰囲気が堪らなく厭だった。
彼女の一大転機となった曲。聴くたびに、汗臭い車の中から遠望した夜景が浮かびあがる。
この美しい人形の何が、そんな風景を呼び覚ましたのか。
家に閉じこもっているだけの毎日。
J.G.Ballard の The Drought 。そして久しぶりの、この人形。
美しい人形は、不思議な鏡だ。
そこに無いものまで写し出してくれる。
書影は The Drought J.G.Ballard Liveright paperback 2012
Zachary Bruno
faces
https://soundcloud.com/zacharybrunomusic/faces-improvisation-no-3?in_system_playlist=weekly%3A%3Akei-suenobu