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Small flowers by the roadside (_itokanasikimonotachi_)

花の色

(続き)

Naoya Sakamata
Future of those Day - Emotional Sad Piano Music / Naoya Sakamata
https://soundcloud.com/naoya-sakamata/future-of-those-day-emotional-sad-piano-music-naoya-sakamata

玄関の一輪挿し。
妻が暫く臥せっていた間に開花した。
赤黒い蕾が付いているのに、容器に残った水は僅か。慌てて足してやったところ、すぐに開き始めた気がする。赤黒く見えた蕾の中からフューシャピンクの花弁が現れた。
体調の戻った妻に名前を聞くと、芍薬だという。フューシャピンクではなく牡丹色。フューシャはもっとショッキングピンクだと言われ、色コード表を確かめてみたのだが、ここにも様々なピンクがあって、それは紫ではないのかと思うものまで。私が見ている色と他の人が見ている色は果たして同じなのか_昔からの疑問が頭を擡げてくる。

 

光が花弁を透過する様に見惚れる。
それを撮っておきたかったのだが、花だけでは、どうにも満足できない。人形と一緒に撮ることを考えたとき、この人形の左目の色を思い出した。花が置かれている場所での撮影は難しく、光の具合が一番好ましく思えた場所も、人形を置いての撮影は難しかった。比較的平淡な場所を確保できたのは、普段、猫が外を眺めている場所。
外を眺めるお決まりの時間ではなく、私の布団で昼寝の最中であったため、猫にちょっかいを掛けられる心配はない。撮影中、覗きにも来なかった。

 

カーテンの隙間から外を見詰める人形が、猫の姿と重なって見えた。
南仏の港町の娘という架空の設定は、もう雲散霧消してしまい、暗い怪奇な物語のヒロインのようになってしまったのだが、仕方がない。