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Small flowers by the roadside (_itokanasikimonotachi_)

Someday in Summer

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梅雨の晴れ間、未明のジョギングの後、汗ばんだ肌から、夏を間近に感じる。
しかし、私が想い描いたのは、終に訪れることのない季節。夢の中の夏の一場面だ。

(続き)

場所は石油コンビナート。工場内部は、薄緑のペンキが分厚く塗られた木材で占められている。可燃性の建材ばかりが殊更に目立っていて、いずれ業火に包まれることを予感させる。
長い夢の中を私はただ歩いていた。姿は派遣社員であったり、職場見学実習の中学生であったり、シルバー人材センターで職を得た守衛であったりする。暗い構内を巡って社員食堂まで行き、全員が同じ献立のランチを黙食する。夢の中もまたパンデミックであるらしい。
夢の中の美しい人は誰かに似ているようだが、それでいて誰にも似てはいない。
彼女は私の同級生であり、幼馴染。気安く声を掛けたりもしたのだが、同僚であったのは僅かな期間。今は映画女優
ノーメイクに見えるかもしれないけれど。
そんなふうに見えるメイクをしてもらっている_と話すのを聞いたのは、この古いコンビナートを背景にして、映画を撮っているからだった。
私は、その撮影現場を緑の金網フェンス越しに眺めていた。しかし、金網の向こうへの道順が分からない。目と鼻の距離なのに。歩いても歩いても近づけないのだが、何故かそれが当たり前のようにも感じていた。
暗くて長い構内を独り歩きながら、中学生になったり、腰の曲がった守衛になったりを繰り返す。時折垣間見える白くて美しい人の姿は何ら変わらないのに。
そう言えば、とんでもない冷夏であっても、澄んだ青い空には白い雲の峰が連なっていて、昼日中から、蜩の声が聞こえていた。
冷ややかな夏の美しさだった。

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A P HH O N E
01 STÖRE
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