本堂から
見出しを「本堂から」としたのは便宜上から。
スライドの前半1分ほどは未だ本堂に辿り着けていない。
(続き)
jensfelger
a musical advent calendar #6
https://soundcloud.com/jens-felger/a-musical-advent-calendar-6
何故これほど迷ったのか。
一度お参りしている_という安心感。しかもその時には難なく行き着いている。油断と共に加齢に伴う判断ミスもあるのか。たった一年の違いなのだが。
境内マップを見ると空鉢御法堂への道を途中まで登って引き返している。
手摺に凭れている表情には疲労の色が濃い。
土産物店で境内マップを頂き、道順を確認して、漸く辿りつくことができた。
私は御朱印を貰い、美しい人は御守りを一つ選んでいる。
本堂では真言が大音声で唱えられていた。商業繁栄の御祈祷だったようだ。堂内の撮影は厳禁。しかし、お堂の向こうに広がる奈良盆地の眺望を撮り忘れてしまった。スライドには美しい人が撮影した画像を一枚使わせてもらっている。
私は何を写したかったのか。
主目的は美しい人を撮ることだが、昔のブロマイドのようなものではない。同じ昔のものを例に挙げるなら、映画館のスチル写真のようなものか。作りものではあっても、流れの中の自然な表情やポーズが理想だ。
苦労して辿り着いた本堂での写真が一枚もなく、何を目指していたのか_自問が続く。
最後に「大寅」の前に座る麦わら帽子の人。
郵便ポストの上に設置する小さな寅を作っているとのこと。殆ど仕上げの段階だった。原型は粘土、完成品は「大寅」同様にFRP樹脂のものになるという。次に来る時には、赤いレトロの郵便ポストの上に小さな寅がいるのだろうか。
そのことに何の意味があるのか_とは誰も問わない。
麦わら帽子の人の楽しそうな笑顔が心に残った。