人工島のガラスとタイルとコンクリート。
(続き)
A P HH O N E
MASSA - A P HH O N E 1/4
https://soundcloud.com/aphhone/massa-a-p-hh-o-n-e-14
この日の撮影で意図していたのは、本当は、こんな雰囲気だった。しかし、前半で目にした緑の輝きを思い返すと、無機質の冷たさが殊更に際立つ。普段の私の好みに合わせてくれたのだろうか_美しい人の表情が固い。
ふと、ガラスの向こう側に、小さな子が何人も寝ているのに気付く。床に敷かれたタオルケットの上でお昼寝の最中らしい。美術館が二つも入る建物の中に保育所が設けられている。今回、初めて知った。
広々とした人工島には、明るい衰退の気配が見え隠れしているのだが、この子たちはどんな夢を見ているのだろう。私が三年間過ごした保育園では、お昼寝の後は、オヤツと決まっていた。歯ブラシの形をしたウエハースが好きだったのを思い出す。
幼児たちが昼寝している同じフロアーには、もうすぐ大規模接種の会場が新設される。
私の好きな荒涼の雰囲気とも暫くお別れだ。
そんなことを思いながら、帰りの六甲ライナーの窓から、下を眺めていた。
テラスカフェの客席の大多数が埋まっている。暑い一日だったから生ビールを飲んでいるのかと思ったのだが、外国資本のコーヒーチェーン、そんなものを提供しているはずはない。目を凝らしてみると、プラスチックの持ち手を付けた紙コップの縁が、ビアジョッキの白い泡に見えたようだ。
それを話そうとして直ぐに、不自然な視線が集まっているのに気付いた。無論それは私の側で外を眺めている美しい人へ向けられていたのだが。無遠慮な視線は車内のあちらからも、こちらからも。マスクで顔は見えなくても、明るい髪と装いが男の好奇心を掻き立てるのだろう。そんな視線に曝され続ける女性の生き辛さに思いを馳せた。
私も誰彼となく同様の視線を送ってきたに違いない。自分自身への恥ずかしさや怒りが綯い交ぜになって胸を衝いた。