Alice38_青扇ドール
A small world of silence in the returning rainy season
黒い箱の赤い紐
猫が私の椅子で眠っていた。家に居るのは私だけだったから、妻の席に座り、猫を眺めながらの昼食にした。猫の向こうに、今まで気付かなかった光を見た。
良い光を見つけた。鬱々とした思いが晴れなくて、少し横になってみようかそう考えた矢先だった。
撮影しながら、須磨水族館のことを思い浮かべていた。「水族園」と改名されるずっと前、小学校の遠足で出かけた際の、仄暗い夢のような光景。
いつまで降り続くのか。窓硝子を叩く雨音と遠雷。ふと思いついたことがあり、カメラを用意した。
甍の波と雲の波。風薫るという言葉も思い浮かべてみるが、5月の印象は概して悪い。
この日 春の嵐。